「すまなかったな‥‥‥」
ベッドに横たわる私に背を向けて、師父は小さく呟いた。
私を乱暴に扱った事についての謝罪なのか、最後の瞬間に「ミツルギ」と発した事についてなのかは、判断しかねる。
しかし、そんな事はどうでもいい。
私は、起き上がって師父の背中に体を寄せた。
「謝らないで下さい。全部 私が望んだ事なのですから。」
体の奥が痛むが、そんなのはどうでもいい事だ。
この悦楽‥‥‥いや快楽に比べたら。
「もし、アナタが必要とするならば、いつでも 同じように‥‥‥」
「いや‥‥‥それは‥‥‥」
師父は逡巡しているが、それは無駄な行為であるという事を 私は知っている。







その後も、私と師父の関係は続いた。

当然だ。

自分の性癖を晒す事に、どれだけの 勇気と【きっかけ】が必要であるかは、私がよく知っている。
稀にしか会うことの出来ない、極東の人物に対して想いを告げるのは、あまりにもリスクが高すぎる。


体を重ねている時に、師父は時々「ミツルギ」と私に呼びかける。
直ぐに、自分の過ちに気が付いて謝罪を口にしようとするが、それよりも早く 私は、微笑みながら「ロウ」と返す。

ああ!その時の 師父の悲しみと歓喜の入り混じった表情の 何と素晴らしい事か!

師父が 私に抱いている罪悪感は、私を優越感に浸らせる。
私は、特別なのだと‥‥‥
他の99人とは違うのだと。
例え どのような立場であっても、私が師父にとって特別な存在である事は間違い無い。


私が最も憎んでいる人物の 代用品であるとしてもだ。


私は今、人生において嘗て経験した事の無い 大きな幸福感で満たされている。




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〜あとがき〜
パラレルで暗いという、どうしようもない話に最後までお付き合い下さって ありがとうございました。
何で突然、こんな話を書いたのかといいますと、以前サイトにUPしたもしも御剣(or 狼)が○○に転職したら?【御剣編】 を書いたところ、「ロウの部下である ミツルギという設定は美味しい!!」と言う事に気が付いて色々妄想していたのですが‥‥‥
部下という設定上、どうしてもミツルギの言葉遣いが敬語になるんですよね‥‥
で、「口調が違ったら、それはみったんではないじゃないか!!」と思い、「それって単なる ソックリさんな部下のパラレル話じゃないの?」等と考えていたら、突然この物語が出来上がったんですよね‥‥‥orz

最初は、漫画でUPしようとしたのですが、主人公の独り言が物凄く多かったので、小説形式にしてみました。
尚、この話はあくまでパラレルですので、ラブラブロウミツが生息している場所とは、違う世界の話という事でお願いします‥‥‥